Nu ワッカオイ (無料)
Nu ワッカオイは、いわゆるモダンゴシックに分類される和文書体です。細かい装飾を持たない簡潔な字形で、キッチリ・スッキリした印象の文字組みを実現します。極細から極太まで 21 段階という幅広く一貫したファミリーを持つのが特徴です。今のところ漢字を含みませんが、一般的な他の和文書体と混植しやすいので、お手持ちのフォントに Nu ワッカオイを組み合わせる事で違った表情を持たせる事が出来ます。 本文向きのウエイト M1、M2、M3、M4 は無料です。有料ウエイトはこちら : https://sayunu.booth.pm/items/795855 以下にはフォント説明ページの内容の一部を転載しています。説明ページには書き替え可能な書体見本などもあるので見てみて下さい : http://kokagem.sakura.ne.jp/font/wakkaoi/
字形について
Nu ワッカオイの字形は、装飾的要素のない単純な直線と曲線で構成されます。とは言え「その字らしさ」を損ねるような極端な単純化は避けて、読み手にとって違和感のない骨格を維持しています。仮名は右上がりの勢いを抑制し、一字一字が真正面を向いた落ち着いた佇まいを持っています。大きく緩やかな曲線を使っているので全体的に柔らかい雰囲気を持ち、まじめさの中にも厳格さより優しさを感じさせる書体です。特に極太では、線の終端を僅かに丸く張り出させて、カドのトゲトゲしさを抑えるようにしています。
ウエイトの分布
Nu ワッカオイの大きな特徴の一つがウエイトの豊富さです。極細の L1・L2・L3・L4・L5・L6 から、中間の M1・M2・M3・M4・M5・M6・M7・M8・M9 を経て、極太の H1・H2・H3・H4・H5・H6 まで、一続きのファミリーとしては他に類を見ない幅があります。画像や文書の中で、太さを使い分けながらも一貫性を維持する事が出来ます。 全体として「太さ」より「濃さ」の安定性に重きを置いており、字形の込み入った部分はかなり線が細くなります。こうした調整は他の書体でも多かれ少なかれ行われていますが、Nu ワッカオイの中間ウエイトはこれが顕著です。画面や紙面から一歩引いて眺めた時の「黒っぽさの均質感」を出しやすいと思います。 極細と極太は見出し向け、中間ウエイトは本文向けを想定した調整になっています。中間ウエイトの仮名は(モダンゴシックとしては)字面が少し小さめで、字間にゆとりがあるので、長文を組んでも読みやすいです。対して極太ウエイトでは潰れるギリギリまで隙間を埋めるようにデザインしています。両極端のウエイトである L1 や H6 は、小さく印刷すると読みづらいし、かすれ・潰れを避けられないので、大きく装飾的な用途にしかオススメしません。 同じファミリー内でもウエイト帯によって雰囲気や使い勝手が違います。L1~L6 はピンと張った糸か針金のような緊張感、あるいは風通しの良い涼しげな感じになります。M1~M7 辺りは扱いやすい本文向きの太さで、太めでもまだ余裕があります。M8~H2 辺りは相当な迫力が出てきます。H3~H6 は線というより広い平面と捉えた方がいいかも知れません。
混植
Nu ワッカオイ M1~M7 の辺りは濃さの近い和文書体が豊富なので、既存フォントの漢字に対する仮名の差し替えに Nu ワッカオイを利用しやすいです。特に、Nu ワッカオイの L5・L6・M1~M6 は、ヒラギノ角ゴシックの W1・W2・W3~W8 とほぼ一致するように刻んであります。 H1 より太い方では一致すると言える書体が少ないのですが、漢字は仮名より線が多いので、本来的に仮名よりも「濃い」事が多く、太い仮名とそこそこ合わせる事が出来ます。漢字の字面が大きければ最適です。例えばヒラギノ角ゴシック W9 は、Nu ワッカオイの H3 辺りと合わせてもさほど違和感がありません。
その他の詳細情報
上記以外の細かい部分の説明です。なお、字形切り替えなどの機能に触れていますが、これを利用するには OpenType‐機能に対応したアプリケーションが必要です。 ● 欧文と和文の位置関係 メトリクス上のベースラインに対し、和文の全角ボディーは八分の七がアセンダー側に、八分の一がディセンダー側に来ます。つまり全角の中心は、ベースラインから上へちょうど 0.375 em ずれた位置です。 欧文の実字形はメトリクス上のベースラインなどと若干ずれていますが、ベースラインとキャップハイトの中間が、実字形としての大文字の高さの中心と揃います。そして大文字の中心は、和文の中心軸と完全に一致するようになっています。 ● バツ印と乗算記号 乗算記号(U+00D7、×)は加算記号(+)などと調和するようにデザインしています。マル印(○)に対応するバツ印は U+2715(✕)に割り当てています。 ● 濁点付き仮名 平仮名と片仮名の各 48 字(あ~ん)に対し、濁点付き・半濁点付きの字形を用意しています。仮名の直後に合成用濁点か合成用半濁点(U+3099、U+309a)を置くと自動的に結合字形に切り替わります。また、合字が効かないアプリケーションでも利用できるように、私用領域に結合済みグリフを割り当てています。「私用領域」の節を参照して下さい。 ● 括弧類の連続 括弧や句読点が連続する場合、余分な空きのない半角字形に自動的に切り替わります。 ● ダッシュの連続 エムダッシュ(U+2014、―)は前後に少し余白を持っていますが、複数連続する場合は継ぎ目なく接続する字形に自動的に切り替わります。 ● 分数表記 分数用の斜線(U+2044、⁄)に隣接する算用数字は、左上の分子と右下の分母に自動的に切り替わります。 ● 大文字・小文字に揃う記号 欧文のハイフン(‐)、コロン(:)、インターパンクト(·)は、初期状態では大文字や和字に中心が揃う高さとなっています。ラテン文字の小文字やピリオドなどが隣接する時だけ自動的に小文字の高さに切り替わります。 ● 全角化 フィーチャー fwid を有効にすると、非全角文字が全角字形に切り替わります(対応する字形がある字のみ)。 ● 等幅数字 初期状態の数字は可変幅ですが、フィーチャー tnum を有効にすると、等幅の数字に切り替わります。 ● 肩付き・下付き文字 フィーチャー sups、subs、sinf を有効にすると、数字が肩付き・下付きに切り替わります。
私用領域
私用領域には濁点・半濁点結合済みの仮名のグリフを配置しています。画像や印刷物を作る過程で、もし必要なら利用できます。でも「仮名 + 合成用濁点」を正しく処理できるアプリケーションであれば、私用領域のグリフを使う必要は全くありません。 こうした私用領域の文字は他のフォントと互換性がないので、通信には使用できません。文字としてインターネット上に書いても、受信側が同じフォントを使わない限り、同じ字が表示されません。
収録字種
日本語の文章に必要な基本的な文字集合である JIS X 0208 を基準にすると、それに対して Nu ワッカオイで不足しているのはギリシャ文字・キリル文字・漢字です。これらを別のフォントで補う事で大抵の日本語を組める事になります。 ヨーロッパ全域で必要な基本的な文字集合と言える ISO/IEC 8859 各部については記号とラテン文字を全て収録しているので、フランス語・トルコ語・ポーランド語など多くのラテン文字系の表記に完全対応しています。ベトナム語などは未対応です。 ● ラテン文字 ● ASCII ラテン文字 ● ISO/IEC 8859 拡張ラテン文字(全ての部) ● これらの範囲に出現するダイアクリティック(合成用及び単体) ● 仮名 ● JIS X 0208 平仮名と片仮名 ● JIS X 0213 アイヌ語表記用の拡張片仮名 ● 平仮名・片仮名の各 48 字種に対する濁点・半濁点付き字形 ● 記号(句読点類を含む) ● ASCII 記号 ● ISO/IEC 8859 記号 ● JIS X 0208 記号、その多くの全角形 ● その他の一部の記号
利用条件
このフォント(Nu ワッカオイ v2.0.0)には無料版と有料版があります。どちらについても共通で、フォントを正規の方法で取得した人は、作者(さゆぬ)に個別の許可を求める事なく、下記の範囲でフォントを利用できます。この範囲を逸脱する使い方については、御相談下さい。 ● 画像などの作成と公開 このフォントに収録されている字形などのデータを使って文書・画像・動画などを作り、それをインターネット上に公開したり、出版したりできます。営利目的かどうかは問いません。作者名など(クレジット)を表示する必要もありません。 ● フォントの再頒布 このフォント自体を再頒布(送信可能化)してはいけません。他人に紹介したい場合はフォントファイルを渡すのではなく、公式ウエブページへ誘導して下さい。 ● フォントの改変と頒布 このフォントに由来するデータを使って新たなフォントを作成し、それを私的な環境にインストールできます。それを頒布してはいけません。ここで言う「新たなフォント」とは、一字づつ切り出した画像など、フォントと同然に使用できるデータを含みます。 ● アプリケーションなどへの組み込み アプリケーションに収録された不変の文字列を表示する目的で、このフォントデータをゲームなどのアプリに組み込んで頒布できます。但し、技術的にフォントデータを取り出せない状態となっている必要があります。 ● 免責 このフォントの使用によって何らかの損害が生じた場合、フォント作者はその責任を負いません。